忍者式隠遁生活

日々のあれこれ

価値あるもの STOKKE バランスチェアー (1)

 三十代初めの頃、会社を辞めて翻訳を始めた。慣れないデスクワークで連日の仕事場泊まり。仕事が終わった、と明け方に背伸びをした途端に「ピキッ」と音が聞こえた気がした。背中に痛みが走り、左手を腰に、右手を上に上げ、鉄腕アトムのような格好をしたまま、固まった。動くと激痛が襲う。

 生まれて初めて体験したぎっくり腰だった。それから二時間くらい、アトムが飛んだままの格好で床に転がっていた。

 ひどい腰痛に襲われ、それからは立つのも歩くのも痛みが伴う。しかし、仕事はしなければ食べていけない。コンピューターの前に座らなければならないのだ。ところが、それまでの椅子では、少しの時間でも腰が痛くて仕事に集中できない。

 そんなとき、ほとんど期待しないで購入したのがSTOKKEのバランスチェアー。前から気になっていたし、構造が普通の椅子とは違う。膝で体重を支えるというのも画期的だった。「この椅子ならなんとかなるかもしれない」
 
 わらにもすがる思いで購入したわけだが、これが大正解!

 膝が体重を支えるため、腰への体重の集中が避けられる。背筋が伸びるので、姿勢もよくなり身体がゆがまない。おかげで、さほどの苦痛もなく長い時間座ることが出来、なんとか翻訳も出来るようになった。

 以来、この椅子は手放せなくなった。